私は栃木県に住む65歳のエクステリアデザイナーです。私のコメントが、少しでもあなたのマイホーム購入のお役に立てれば嬉しいです。
一戸建て住宅の耐用年数は、マンションのそれに劣るという説がありますが、実際にどうなのか、購入を検討していると気になるものです。30年前後という説もありますが、耐用年数をどのように捉えるかによっても異なるでしょう。雨風をしのげれば耐用年数がまだある、と考えるか、大多数の人が立替を考えるようになったらその建物は寿命を全うしたと考えるか、その辺りは難しいところです。一戸建ての寿命として挙げられることが多い年数は、実際に解体した一戸建ての平均築年数であることも多いのです。同じ年数でも解体しなかった所有者が母体に入っていないので、どうしても短めに算出されます。建物はどうしても経年劣化しますが、どの程度の劣化で解体して建て替えするかの判断は個々人によって大きく異なってきます。
メンテナンスによる影響が大きいことは周知のとおりです。同じ築年数の一戸建て住宅でも、全く劣化具合が異なるというのは、実感として分かる方が多いのではないでしょうか。これらに加え、その物件が建てられた時期の事情も関係してきます。例えば、戦後、住宅が極度に不足していた時代には、住宅の質にこだわる余裕はなく、とにかくまず住居の数を増やすことが優先されていたでしょう。そういった事情は、建築関連の規制に反映され、結果として住宅の造りに影響します。もっと前、例えば戦前に建てられた築年不詳の物件などを見ると、二度の大震災(関東大震災と先般の震災)を経ても建物自体は居住可能な状態で流通しているものもあります。もちろん、当時と現在とでは、キッチンやトイレ、バスなどの設備や内装の水準が異なりますがそれらは後付が可能です。どの状態を以って耐用年数を全うしたと判断するか、個々人の価値観次第なのかもしれません。