一戸建ては南向きじゃないとダメなのか(大阪府/キュレーター/68歳/女性)

私は大阪府に住む68歳のキュレーターです。私のコメントが、少しでもあなたのマイホーム購入のお役に立てれば嬉しいです。


一戸建ての分譲住宅を購入する際、多くの人が南向きを希望条件にあげます。中には、まず第一の条件に指定している人も少なくないほど重要視されているのです。そういった一般の志向から、どうしても南向き住宅は価格がそれだけ上乗せされる傾向にあります。確かに南側に大きな窓がある家は、光を取り込みやすく明るいイメージです。古来より、日本人は太陽光に親しみを持ち、その恩恵に預かってきました。洗濯物や布団を外に干し、太陽光の力で乾かし清潔に保つことを基本とするのは、欧米にはほとんどない習慣です。こうしたことから、日本ではまさに「南向き信仰」と言ってもいいほどのこだわりを持つ人が多くなっているのです。しかし、果たして本当にそれが必須条件なのでしょうか。


確かに南側に窓がある家は、昼間に長い時間光が入りやすくなっています。つまり、冬の晴れた日には光が長く入ることで部屋が暖かくなります。ところが、この光が入りやすいことは逆にデメリットにもなるのです。冬とは反対に夏は光が入るため室内が大変高温になり、光熱費が跳ね上がる原因になると言われています。さらに、仕事などで日中ほとんど家にいない生活スタイルの人には、南向きであってもあまり恩恵に預かることがなく、むしろ朝日の入る東向きの方がすごしやすい可能性があります。また、北向きの住宅はどうしても人気がなくその分価格がやや低く設定されていますが、実はイメージほど光が入らないといったことはなく、むしろ自宅で仕事や作業、勉強をする人にはキツすぎない柔らかな光が入ることから好評なのです。このように南向きだけが必須条件というわけではなく、生活スタイルによっては他の向きの住宅も充分検討できるのではないでしょうか。