僕は神奈川県に住む70歳のプロデューサーです。僕のコメントが、少しでもあなたのマイホーム購入のお役に立てれば嬉しいです。
一戸建ての価値は築年数30年を超えるとゼロになるとよく言われます。これは、日本の一戸建て住宅の取り壊しの平均築年数が約30年であることと深く関係しています。欧米と比較して、これは短いのですが、もともと石造りのヨーロッパの住宅も相当あることを考慮すると、比較すること自体、難しいのかもしれません。ただ、戦後の日本の住宅は、長く使うことを考えて良質な住宅を供給してきたというよりも、住宅難でとにかく住むところを急場しのぎで供給したという事情も多かったのです。そういう意味では、長寿命の住宅をつくって、何代にもわたって補修しながら使っていくというような文化が薄れていたという社会事情もあるのかもしれません。
人口減少、経済の安定成長を目指す今日では、若者も車を買わない風潮がでてきましたし、新築の一戸建て住宅を建てて住むよりも、賃貸を選ぶ人も今後は増えてくるのかもしれません。そういう中では、中古住宅の価値がこれまでよりも上昇していく可能性は非常に高く、築年数が大きいとそれで価値が急激に下がるこれまでの考え方は見直される環境になるともいえるでしょう。そのためには、まず、中古住宅を定期借家で若者に賃貸する仕組みを整えていかないといけません。高齢者の中古住宅を安心して次の世代に賃貸することができれば、中古住宅そのものに年金を補完する財産価値があることがマーケットの中で見直され、中古住宅の販売価格そのものも上昇することが考えられるからです。そのことがまた、中古住宅を適切に維持修繕・管理する動きにもつながり、さらに中古住宅の価値をおしあげるサイクルへとつながっていくものと思います。