マンションの耐用年数(長崎県/建築家/67歳/男性)

僕は長崎県に住む67歳の建築家です。僕のコメントが、少しでもあなたのマイホーム購入のお役に立てれば嬉しいです。


マンションは、一般的に鉄筋コンクリート造りになっています。木よりも鉄やコンクリートの方が丈夫であることは誰にでもわかります。実際に木造の一戸建て住宅はせいぜい築後30~40年程度で取り壊されるケースが多いです。一方、鉄筋コンクリート造りのマンションの場合には、築後50年以上経過しているのにも関わらず十分に実用に耐えている物件が数多くあります。よくマンションの耐用年数は60年前後だと言われることがありますが、それは単に過去の税法上の法定耐用年数が60年という設定になっていたことから導き出されただけの数字です。専門家の研究によれば、適切な補修工事を適宜実施することによって、120年から150年程度の寿命を期待することができると言われています。


よくマンションの躯体部分を構成しているコンクリートが経年劣化を起こすことが、耐用年数を縮めてしまう原因だと言う人がいます。これは半分当たっていますが、半分は外れています。コンクリートの劣化とは、平たく言うとコンクリートの中性化のことです。実はコンクリートが中性化したとしても、コンクリートの強度自体が弱まるようなことはありません。しかし、コンクリートに空気や水が浸透しやすくなってしまうのは事実です。この水分や空気がコンクリートの内部にある鉄筋にまで到達してしまうことによって、鉄筋に錆びを生じさせてしまうようになるのです。鉄筋が錆びると徐々に膨張し、結果的にコンクリートを破損させてしまいます。つまり、鉄筋の保護さえきちんと行うようにしていれば、マンションの耐用年数は飛躍的に伸びると言うことができます。