私は石川県に住む35歳の宝飾デザイナーです。私のコメントが、少しでもあなたのマイホーム購入のお役に立てれば嬉しいです。
デザイナーズマンションとは、デザイナーすなわち設計者の個性を前面に打ち出して建てられたマンションのことをいいます。この言葉が使われるようになったのは1990年代の後半あたりからです。アパレル業界においてファッションデザイナー主導で作られたブランドのことがデザイナーズブランドと呼ばれていたのにヒントを得て名づけられたと言われています。2000年代に入ってからは急速に普及しはじめ、現在では広く認知されています。普及の背景には、社会の成熟化に伴う価値観の多様化、個性を重んじる風潮などがあったものと考えられています。以前のマンションは機能重視の画一的な間取りや内装の物件が大半でしたが、それでは飽き足らない、自分の嗜好に見合った購入者の需要を満たすものとして人気を集めています。
具体的にどんな物件をデザイナーズマンションと呼ぶかについては、明確な定義がありません。そもそも個性的であることを目指して造られている以上、統一的な傾向は生まれようがありません。ただ共通しているのは、設計にあたってデザイナーが何らかのコンセプトを持ち、それを具現化したものだということです。つまりなじみ深い言葉で言い換えるなら「こだわり」ということになります。その「こだわり」は、非常に多種多様です。たとえば通常なら2LDK、3LDK程度の間取りが適当な面積を広大なワンルームにしたり、部屋の形状を円形や三角形にしたり、床や天井を強化ガラス製にしたりなど、通常のマンションでは考えられないようなアイデアが形になった物件が多数存在します。